アントル・ドゥ・メール・オー・ブノージュの知られざる魅力
AOCアントル・ドゥ・メールをご存じの方は多いでしょう。しかし、この地域にはもう一つ、より小規模なアペラシオンがあることを知っている人はあまりいません。それでは早速、この狭地で生まれるバランスのよい辛口白ワイン、アントル・ドゥ・メール・オー・ブノージュについてご紹介しましょう。
アントル・ドゥ・メール・オー・ブノージュのブドウ畑の特徴
重要ポイント
- 生産者は広さ45ヘクタールの栽培地にわずか10戸ほど。つまり、ワインの生産量はごくわずかです。
- AOCアントル・ドゥ・メールと同等の規格に準拠しています。
- ブドウ栽培からボトリングまで、全工程を現地で行い、8つの村で生産されるワインのみが「オー・ド・ブノージュ」のDGC(地理的補足名称)を名乗ることができます。8つの村とは、エスクサン、ゴルナック、ラドー、ムラン、ポルト=ド=ブノージュ、サン=ピエール=ド=バ、スリニャック、タルゴンです。
アントル・ドゥ・メール・オー・ド・ブノージュとそのワインが愛される理由
- 栽培面積の小さなブドウ畑から造られる秀逸なワインを見つける喜びがあるから。
- テロワールに深く根ざした造り手たちの技術と情熱があるから。
- 夏の川のほとりで、牡蠣や焼き魚の料理を囲んでテイスティングするのに最適だから。
- AOCアントル・ドゥ・メールに付される唯一のDGC(地理的補足名称)だから。名品を発見したときの喜びは格別です。
- ポルト=ド=ブノージュを見下ろす中世の要塞を眺めながらブドウ畑巡りができるから。

アントル・ドゥ・メール・オー・ド・ブノージュのスタイルの特徴
口当たりは爽やかですが、やがてしっかりとしたコクが現れます。酸味と甘味のバランスが絶妙なワインです。
調和のとれた個性
柑橘類、黄色い花、ほんのりとエキゾチックな香りが重なり合います。口に含むと、溌溂とした酸味と心地よいしなやかな味わいが現れ、やがてふくよかな丸みが姿を見せます。
この生き生きとしたワインは、寝かせず早めに飲むのがお勧めです。
アントル・ドゥ・メール・オー・ド・ブノージュのワイン
ここで出会えるのは、純然たる辛口白ワインです。
ソーヴィニヨン・ブランとソーヴィニヨン・グリは、爽やかさと繊細さ、ミネラル感を演出し、セミヨンはフルボディで豊かな個性を備えたワインを生み出します。このAOCは、他ではあまり知られていない品種を用いることがあります。ムスクの香りのミュスカデル、軽やかな花の香りのユニ・ブラン、濃厚な果実香が漂うコロンバールなど、いずれも独自の個性が光る風味豊かな味わいをもたらします。

豆知識
ぜひ知っておきたいアントル・ドゥ・メール・オー・ド・ブノージュの3つの情報
このテロワールの知られざる逸話をもう少しご紹介しましょう!
1.
このAOCの指定地域は、歴史的背景と地理的条件の両方に由来しています。なぜなら、歴史的なガスコーニュ州に位置するブノージュ城の旧子爵領とその境界がほぼ重なるからです。こうした歴史を背景に、この地のブドウ栽培者たちの間では強い帰属意識が育まれてきました。
2.
この地域のブドウ畑は、中甘口ワインをメインとするAOCボルドー・オー・ブノージュと生産区域を共有しています。規格もスタイルも異なるワインが、同じ一つのテロワールから生まれているのです。
3.
「アントル・ドゥ・メール」という名前は、この地の特色を巧みに表現しています。フランス語で「海」を意味する「メール」は、ここではガロンヌ川とドルドーニュ川のことを指します。満潮時に大西洋からの潮波が二本の川を遡上し、「マスカレ」と呼ばれる驚くべき自然現象を生み出します。一生に一度は目にしたい素晴らしい光景です。
土壌の特徴
この畑の土壌は、粘土と石灰質が主体です。粘土は保水に優れ、ブドウにみずみずしさと骨格をもたらし、石灰質は水はけがよく程よい通気を促します。
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その結果、夏でも冷たい土壌を保ち、大雨による影響も受けにくくなります。まさに、気まぐれな気候に対処するための頼もしい味方です。
時を遡る
アントル・ドゥ・メールでブドウ栽培が始まったのは、はるか昔のことです。この地方はローマ帝国時代にはすでに農業の中心地でしたが、中世に入って一変しました。11世紀、ベネディクト会の修道士が森林を切り開き、ブドウ樹を植え始めました。そして少しずつ、この地方にブドウ栽培が広がっていきました。
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20世紀になると新たな転機が訪れます。1924年にアントル・ドゥ・メール生産者組合が創設されたのち、1937年にはワイン法により辛口白ワインがAOCアントル・ドゥ・メールとして正式に認められました。これに「オー・ブノージュ」の名が付されることで、土地の独自性がはっきりと位置づけられるようになったのです。
